長野原草津口から日本ロマンチック街道(国292)を登りきった僕はめざとく店の軒先の日影を見つけ、傍らの自販機で炭酸ジュースを買い、飲みながら、へたりこんでしまったのでした。
それが25(土)の朝7:30頃のこと。
30分ほどじっとしていたら、なんとかカラダに力がみなぎってきた。おもむろに立ち、あたりを見回すと、そこにあったのは草津の住民の皆さんのための共同浴場「こぶしの湯」。
もらい湯をすることにしたのでした。
靴を脱ぎ、のれんをめくるとすぐ脱衣場。朝っぱらだけあって、先客はなし。
汗だくになって肌に張りついたタイツやらレーパンを脱ぎながら、拝読。
脱衣棚の上に置かれた木箱に寸志を入れて、と…
うっひょー!
蛇口からはとくとくと湯が落ち、湯船は湯であふれていましたよ。まさに源泉かけ流し!
そこはかとなく漂う硫黄臭、ただしその鼻につく香りの強さは湯畑ほどではなし。
湯をさっと手にすくう…あづいいいいっ!!!
激熱でした。思わず身悶えてしまうほど。
足先を浸け、なんとかふくらはぎまで湯に入れてみたものの…無理でした。命の危険を感じてしまいました。
洗い場にホースのつながった水道の蛇口があるから、水で埋めることもできたけれど、ひとりおいらが浸かりたいがために水を大量に使うのは忍びなく…手桶でかけ湯をすることにしましたよ。
湯の手触りが、これがまたまろやかヌルヌルで素敵でした。湯をかけると、湯が肌を伝ったそばから、肌がツルツルしていくのがわかりました。湯の酸で肌についた排気ガスの粉じんやら、汗の塩を溶かすかのよう。
かけ湯をして、手で肌の湯を切って。カラダだけではなく、顔を洗い、しまいにはアタマから湯をかぶる始末。
そうしたらもう気分爽快そのもので。「こりゃ、直江津どころか、これからの渋峠すら無理なんじゃないか…」、さっきまでのそんなヘタレ気分もどこへいったのやら、軽快に渋峠へ向かうことができたのでした。